この放電の様子を回路で表すと,図1のようになります。
図1 内部放電
また,絶縁体の内部に限らずに,絶縁体の表面の放電,あるいは空気につつまれた高圧充電部でも同様な現象が発生します。これらを,図2,図3に示します。これらをさらに一般的な等価回路にすると,図4のように表されます。
図2 沿面放電
図3 コロナ放電
図4 部分放電の等価回路
部分放電測定器では供試体中の部分放電による電荷量を検出インピーダンスに発生する電圧として捉えます。供試体で電荷量Qの部分放電が発生した場合に検出インピーダンスZの両端に発生する電圧は供試体静電容量,結合コンデンサ静電容量,検出インピーダンス及びその周波数特性などにより簡単に計算で求めることはできなく,また,供試体が分布定数回路の場合はさらに複雑になります。このため図5に示すように,校正すなわち既知の電荷量を供試体に注入して測定器の感度調整を行うことが一般的に行われています。
図5 部分放電の校正・測定回路
Q:供試体で発生する部分放電電荷量
Z:検出インピーダンス
Vd:部分放電により検出インピーダンスに発生する電圧
Ck:結合コンデンサ
Qcal:校正時に注入する既知の電荷量
Ca:供試体静電容量
Cb:供試体欠陥部分に直列に挿入される静電容量
Cc:供試体欠陥部分(ボイド等)の静電容量
図6 部分放電測定回路
表1 各種部分放電測定法の基本特性
測定方法 | 広帯域法 | 低周波法 | 同調法 | |
狭帯域同調法 | 中帯域同調法 | |||
検出インピーダンス | CR,またはLC | Rと並列に 変成器結合 インピーダンス | Rと並列に 変成器結合 同調インピーダンス | Rと並列に 変成器結合 同調インピーダンス |
増幅回路の帯域幅 | f1:数kHz f2:数MHz | f1:5~10kHz f2:150~200kHz | f0:200~数MHz ⊿f:10kHz | f0:400kHz ⊿f:90kHz |
パルス分解能 | 0.1~10μs | 20~30μs | 200μs | 25μs |
指示装置 | パルス計数計 パルス波高値計 オシロスコープ | パルス計数計 パルス波高値計 オシロスコープ | パルス波高値計 オシロスコープ | パルス波高値計 オシロスコープ |
基本的な測定量 | Q,n 放電パルス波形 | Q,n パルスの極性 | Q RIV値 | Q,n |
Q:放電電荷 n:発生頻度 f0:同調中心周波数 ⊿f:帯域幅 f1:下限周波数 f2:上限周波数