RFIDシステムにおけるアプローチケーブルの役割
RFIDシステム構築の際、リーダライタ等の機器とケーブル型アンテナとの接続には、以下3点の理由から「機器接続用同軸ケーブル(アプローチケーブル)」を利用することが推奨されています。
- リーダライタ等の機器設置おける配置の自由度が増し、利用環境の厳しい場所や設置スペースの問題の解決を助けます。
- リーダライタ等機器とアンテナを直接接続することでコネクタ部に生じる負荷破損リスクを低減するなど、機器寿命の長期化に寄与します。
- アプローチケーブルを接続することで、故障時に機器等の切り離しの利便性が上がり、メンテンナス等の作業効率が改善します。
RFIDシステム向けアプローチケーブル製品のご紹介
低減衰かつ細径・軽量な「2.5D-HQ・SUPER」や「5D-SFA-LITE」など、RFIDシステムに最適なアプローチケーブル製品をご提供しています。
アプローチケーブル選定のポイント
(1)コネクタについて
アプローチケーブルの種類によっては利用できない(当社にて取付け加工ができない )コネクタ種・型式があるため、まず初めにリーダライタやアンテナHUBなどの機器接続部のコネクタ種・型式をご確認ください。
具体的にはリーダライタやアンテナHUBなどの仕様一覧に記載されている「端子」「外部端子」「アンテナ」「ANT」等の項目から「コネクタ種・接続型式」を確認します。オスメス異なるコネクタ種や接続型式を接続しなければならない場合には「変換アダプタ」をご用意ください(※「変換アダプタ」はコネクタ専業メーカー等にお問合せ頂く必要があります)。
主なリーダライタ/アンテナHUBと対応する当社製品のコネクタ種・接続型式一覧
| リーダライタ/アンテナHUB |
当社アプローチ ケーブル製品 コネクタ種 |
| メーカー(取扱商社) |
機種 |
最大出力 |
コネクタ種 |
Impinj (伯東) |
Speedway R420 |
30dBm(1W) |
RTNC-J |
RTNC-P |
| R700 |
| アンテナHUB |
- |
SMA-J |
SMA-P |
JADAK (サイレンスネット) |
ThingMagic M6e-Micro LTE |
24dBm(250mW) |
UFL |
UFL-P |
| ThingMagic Sargas |
24dBm(250mW) |
SMA-J |
SMA-P |
CSL (サイレンスネット) |
CS468 |
24dBm(250mW) |
RSMA-J |
RSMA-P |
| アートファイネックス |
UPx-1000-J2 |
30dBm(1W) |
SMA-J |
SMA-P |
| UXA250 |
24dBm(250mW) |
※各社のカタログ及び情報提供をもとに記載しております。
※出力の単位「dBm」は、1 mW(=0dBm) を基準とした単位です。
30dBm=1W(1,000mW)、27dBm=500mW、24dBm=250mW、20dBm=100mWを示します。
(2)減衰特性について
アプローチケーブルの導体(金属)に高周波(電気)信号が流れると、素材の導体抵抗によって徐々に信号強度が減衰し、減衰量が大きくなるにつれてRFIDタグの読み取り能力が低下します。アプローチケーブルの減衰特性をよく考慮し、リーダライタからケーブルアンテナに必要十分な高周波信号を伝え、且つ十分な配線スペースを確保できる製品を選定することが重要です。
特に出力の小さいリーダライタ(特定小電力無線局24dB(250mW))をご利用の場合、アプローチケーブルの減衰特性がRFID読取り感度に与える影響もより大きくなりますので十分にご注意ください。
アプローチケーブルの減衰量計算例一覧
| アプローチケーブル品名 |
外径 (㎜) |
減衰量 dB/m at 920MHz |
両端SMA型コネクタ付アプローチケーブル |
| 単位:dB (at 920MHz) |
| 1m |
2m |
3m |
4m |
5m |
6m |
10m |
20m |
| 2.5D-HQ・SUPER |
4.3 |
0.426 |
-0.8 |
-1.3 |
-1.7 |
-2.1 |
-2.5 |
-3.0 |
-4.7 |
-8.9 |
| RG-58C/U |
5.0 |
0.55 |
-1.0 |
-1.5 |
-2.1 |
-2.6 |
-3.2 |
-3.7 |
-5.9 |
-11.4 |
| 5D-SFA-LITE |
7.5 |
0.16 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.9 |
-1.0 |
-1.2 |
-1.4 |
-2.0 |
-3.6 |
| 8D-SFA-LITE |
11.1 |
0.112 |
-0.5 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.8 |
-1.0 |
-1.1 |
-1.5 |
-2.6 |
| 10D-SFA-LITE |
13.1 |
0.088 |
-0.5 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.8 |
-0.8 |
-0.9 |
-1.3 |
-2.2 |
| 10D-WFLEX |
13.5 |
0.09 |
-0.5 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.8 |
-0.9 |
-0.9 |
-1.3 |
-2.2 |
| WF-H50-4R(10D相当) |
15.2 |
0.069 |
-0.5 |
-0.5 |
-0.6 |
-0.7 |
-0.7 |
-0.8 |
-1.1 |
-1.8 |
※減衰量計算について
両端SMA-Pコネクタ付2.5D-HQ・SUPER(長さ:6m)をアプローチケーブルとして利用した場合
・同軸ケーブル(2.5D-HQ・SUPER)減衰量:0.426dB/m(at 920MHz)
・両端SMA-Pコネクタの減衰量:0.4dB(=0.2dB/個×2個)
よってアプローチケーブルにて設計上、3.0dB(≒0.426dB/m×6m+0.4dB)の減衰が発生いたします。
※dBmは(デービーエム、デシベルミリワット)は、電力1mWを基準値とするデシベル(dB)の値で表した単位です。
A(dBm)=10×log10(P(mW))
このため1mWは10×log10(1mW)=0dBm、1W(1,000mW)は10×log10(1,000mW)=30dBmとなります。
例えば1W(1,000mW)出力のリーダライタに上記2.5D-HQ・SUPERを6m接続すると、アンテナに伝送された電力は
30dBm-3dB=27dBmとなります。
27dBmはmWに換算すると500mWとなりますので、リーダライタからアンテナへ伝送された電力は半減しています。
(3)許容曲半径について
曲げることが許容される範囲(曲率)には次の2種類があり、使用環境・状況が其々の許容数値の範囲内に納まるアプローチケーブルを選定する必要があります。
・布設時:配線作業中に許容できる曲げ半径
・固定時:設置後長時間に渡り特性が保証できる曲げ半径
アプローチケーブルの減衰量計算例一覧
| ケーブルの種類 |
許容曲げ半径 |
品名例 |
| 固定時 |
布設時 |
| 外部導体が編組のみの構造のもの |
ケーブル外径の4倍以上 |
ケーブル外径の10倍以上 |
RG-58C/U、3.5D-2V |
| 外部導体に金属箔付プラスチック テープが使われているもの |
ケーブル外径の6倍以上 |
ケーブル外径の15倍以上 |
5D-SFA-LITE 2.5D-HQ・SUPER |
注)上記種類以外は個別に設定しています
(4)温度環境について
アプローチケーブルには使用温度域がありますので、特に低温・高温環境域でのRFIDシステム稼働を想定される場合には、使用耐性を持った製品を選定ください。
アプローチケーブル使用時の注意事項
アプローチケーブルを空中に浮かせたり、極端な屈曲を繰り返すと取付けたコネクタとケーブルの接続部分や本体に負荷がかかり、破損する恐れがありますので十分ご注意ください。
アンテナ部は移動しないことが理想ですが、使用環境上やむを得ず移動する場合には、アンテナ部を極力固定し、アプローチケーブル側が動くようにし、アプローチケーブルの余裕長と曲げ耐性の確保をお願いします。またその場合、定期メンテナンス等によって頻度高く受信パフォーマンスをご確認ください。